3.二次電子増幅管の発明について



  真空管内の適当な場所に補助電極を設け,陰極から出てきた信号である一次電子を直接陽極に集めずに,まず補助電極に衝突させ,これによって陰極から二次電子を発生させます。このとき,二次電子の数は一次電子より遥かに多くなります。
  この二次電子を陽極に集める様にして増幅度を向上させ,これを繰り返す事によって幾何級数的に増幅を高める事ができます。つまり,極めて高い増幅度が得られる真空管を安藤博は発明したのです。これが一般に,「二次電子増倍管」と呼ばれている真空管です。この開発は,真空管の発達の中で注目を集めた技術の1つでした。
  これは特許第136192号「二次電子増幅方式」と,特許第176416号「二次電子増幅管」で2つ特許申請しています。
  この電子増倍管の応用として,弱い光を電気信号に変換する撮像素子(真空管型イメージオルシコンや固体型CCD)や,弱い電気信号により蛍光を能率よく,しかも強い光に変換する必要のあるディスプレイ素子(ブラウン管やプラズマ)などへ応用できます。現在でもこの技術は必要なのです。
「二次電子増幅管」の特許